大塚:カーボン材料には若い頃から思いがありました。私は1980年代に三菱ガス化学(株)で炭素繊維原料の開発に携わり、アメリカへマーケティング目的で行きました。早くからNASAなどがカーボンに注目していましたので。その後、C/Cコンポジット*1など多くの材料に出会い、カーボンの可能性を強く感じていました。
しかしその後、事業成長がなかなか見いだせず、撤退した経験があります。残念でした。アメリカで作ったパンフレットだけが残っています。それから30年余経った今、三菱ガス化学ネクストの社長としてテンさんや皆さんと出会い、最先端のカーボンであるCNT*2に取り組むことになった。巡り合わせのようなものを感じ、大変ハッピーです。
*1:C/Cコンポジット:繊維強化複合材料の一種で、繊維として炭素繊維を、母材(充填材)としても炭素を用いたもの。
*2:CNT(カーボンナノチューブ):直径0.4~50ナノメートルで、平面のグラファイト(グラフェンシート)を丸めて円筒状にしたような構造をした炭素材。非常に高い導電性、熱伝導性・耐熱性を持つことを特性としている。その細さ、軽さ、柔軟性から、次世代の炭素素材、ナノマテリアルといわれ、様々な用途開発が行われている。